国立劇場おきなわ「第7回創作舞踊大賞」の入賞作品の決定について 

 

国立劇場おきなわでは、沖縄伝統芸能の振興に資するため、新たな「創作舞踊(琉球舞踊)」を創造発信することを目的に、平成22年度(2010年)から「創作舞踊大賞」の公募事業を実施しております。
本年度は、8作品(課題作品部門2、自由作品部門6)の応募があり書類審査の結果、8作品ともエントリーされました。このうち1件の辞退があり、7作品が、去る9月19日(月)に舞台での実演審査に臨み、選考の結果、下記作品の入賞を決定しました。
 この賞には大賞・奨励賞・佳作の三賞が用意されており、本年度は大賞1、奨励賞1、佳作1の各作品が選出されました。総体的に作品の水準は高く、舞踊作家の個性が輝く内容で、いずれも創作舞踊として大きな可能性を秘めた作品でした。入賞を逸した4作品を含めさらに練り上げ練り直しを重ね、作品の完成度を高めていくことが期待されます。
当劇場ではこれを契機に、伝統の保存継承を踏まえつつ、さらなる沖縄伝統芸能の発展を目指し、この制度の一層の充実を図っていく所存であります。舞踊界はもとより舞台芸術関係各界のご支援ご協賛をよろしくお願いいたします。
 
記                   
 
 
 
第7回創作舞踊大賞 平良恵子作品
 「花心(はなぐくる)
 
 
  衣裳、小道具等は王朝の雰囲気を漂わせ、踊りも十分に洗練されて優雅であり、古典の美意識がしっかりとあって新鮮な魅力があった。構成及び振付が奏功し、花を愛で恋する乙女の気持ちを際立たせる効果をよく醸し出した。古典舞踊の現代によみがえるような作風とその成果は高く評価される。                                       
 
                                 
 
 
 
第7回創作舞踊大賞奨励賞 前川美智子作品
 「世果報ちどり(ゆがふちどり)
 
地方色のよく表出された品性の高い作品に仕上がった。特に扇子の扱いとその振り、連れ舞いのモノトーンを超えて、お互いが刺激し合いながら高揚していく巧妙の所作、特に右肩袖を抜いて後のコンビネーションは印象深い。八重山古典民謡の音曲構成もよい。
 
 
                     
  
 
◆第7回創作舞踊大賞佳作 上里初枝・島尻ひさみ・瑞慶山和子作品
  「桜梅桃李(おうばいとうり)」
 
喜歌劇風の味が楽しめる。コミカルな仕草の中にも鍛えた技の確かさが垣間見える。伝統の世界から一歩突き抜けようという意欲は見えるが、軽妙と滑稽、そしてユーモアの味が醸し出せれば喜舞踊として佳品に成長するであろう。芝居心のほしいところである。
 
 
                          
 
備 考
1.受賞作品の作者には、賞状と賞金が贈られます。(大賞40万円、奨励賞20万円、佳作10万円)
2.贈呈式は、10月22日(土)17時より国立劇場おきなわにて行われます。
3.受賞作品は12月10日(土)国立劇場おきなわ「創作舞踊の会」公演で上演されます。
 
(参 考)
・審査選考の観点
企画(発想・意図)、構成・振付、演出(表現・表出法)、演技、音楽
 
「第7回創作舞踊大賞」選考審査委員(五十音順)
   上原徹 (沖縄タイムス社常務取締役)
   大城學 (琉球大学教授)
勝連繁雄(音楽家 琉球古典音楽野村流保存会会長)
潮平芳和(琉球新報社取締役読者事業局長)
島袋君子(舞踊家 琉球大学非常勤講師)
田中英機(くらしき作陽大学客員教授)
西江喜春(音楽家 国指定重要無形文化財「組踊音楽歌三線」(各個認定)保持者)
比嘉悦子(民俗音楽研究家)
又吉靜枝(舞踊家 国指定重要無形文化財「琉球舞踊」(総合認定)保持者)